SWEETな贈り物

Presented by Suzume

 夜の早乙女学園の職員室はしんと静まり返っていた。
 レコーディング棟やレッスン室にはまだ居残って課題や自主練をしている生徒の姿があるものの、それらは全て防音処理が施されていてここまで音が届くことはない。
 課題のレポートを確認していた龍也は、一区切りついたところでペンを置いて大きく伸びをした。
 と、その瞬間、ガラスの割れる音と共に派手な成りをした巨体が室内に転がり込んできた。シャイニングプロダクションの社長にして、この早乙女学園の学園長でもあるシャイニング早乙女だ。
「龍也サーン、今日はYouに素敵なプレゼントを用意しました!」
 社長が窓を突き破って現れるのは、学園に於いてもはや日常茶飯事だ。壁や床や天井をぶち抜いて現れないだけ今回はましだと言ってもいい。
 こんな事象ごときでは既に動じたりすることはないが、それでも修理代やら何やらを考えれば頭が痛いことには違いない。
 龍也はげんなりした気分で肩を落として、突然現れた上司へ目を向けた。
 誕生日の今日くらい面倒をかけてくれるな、と心の中で苦情を浴びせたが、その言葉が実際に口を突いて出ることはない。言っても無駄だというのを嫌と言うほど知っているからだ。
「……で、プレゼントがどうしたって?」
 半眼で問えば、早乙女が得意そうに口の端を持ち上げた。
 長年の付き合いから良からぬことを企んでいるのは明白で、湧き上がる嫌な予感に益々気が重くなるばかりだ。
「ハッピーバースデー、龍也サーン! これはミーからの誕生祝いデース!」
 そう言って投げつけられたものを反射的に受け止めれば、それは一枚のプラスティック製のカードだった。
「何だ?」
 訝しく思いつつよくよく見れば、カードの表面には有名な某一流ホテルの名前が記されていた。どうやらそのホテルのカードキーのようだ。部屋番号らしい数字からは、それがかなりの高層階のものであることが窺い知れた。
 一体これは何の真似だろうか。
 そんな警戒が表に出ていたのだろう。
 早乙女はサングラスの向こうの眼差しを微かに和ませて、
「誕生日くらい、ゆっくり過ごしたところで罰は当たるまい」と鷹揚に笑った。
 いつもの巫山戯た様子ではなく、慈愛すら感じさせる態度でそう言われて調子が狂ったというのもあったのかもしれない。
 なんとなく言うことを聞かなければならないような気分になって、龍也は素直にそのカードキーを胸ポケットにしまった。
 どうせ今日の予定は学園関連の雑務を残すのみだし、早めに切り上げて優雅にホテルのディナーと洒落込むのも悪くない。
 惜しむらくは恋人の春歌が今日は仕事で会うことが叶わないということだ。
 あるいは、仕事が終わったらこっそりホテルに来るようメールをしておくというのも一つの手か。
 この規模のホテルならば当然VIPが秘密裏に出入りできる入口は設けられているものだし、一緒に出て行くようなヘマさえしなければハイエナのようなパパラッチに嗅ぎ付けられることもないはずだ。そして早乙女のことだから、その辺りについてもぬかりなく手を回してくれていることだろう。
 たとえ僅かな時間だとしても、誕生日の今日くらいは恋人とロマンティックな夜を過ごすのも悪くない。
「何を企んでるのか知らねーが、せっかくの厚意だ、有難く頂戴するぜ」
 減らず口を叩いた龍也に、彼はどこか人の悪い笑みを浮かべて、
「龍也サンももう若くないんだから、あんまり無理するのはノンノンYo!」と失礼極まりない台詞を残し、現れたときとは別の窓をぶち破って姿を消した。
 あとに残ったのは散乱したガラスの破片とドップラー効果のような高笑いだ。これではせっかくの感謝の気持ちも霧散するというものだろう。
 例によってどこからともなく現れた黒服の連中が後片付けをする様子を見るともなしに見ながら、彼は手早く机の上を片付けて学園を後にしたのだった。


 仕事で何度か使ったことのあるそのホテルは一流の名を冠するに相応しい格式とサービスを誇っていた。
 フロントに確認をすれば、早乙女から渡されたそのカードキーの部屋は半ば予想していた通りのエグゼクティブスイートで、フロアへは直通のエレベーターから行かれるらしい。
 誕生日に一人でディナーをしている姿を見咎められ噂話の種になるのも面白くないし、残業するつもりで夕方に軽食を摂っていたからまだあまり腹は減っていない。
 食事はルームサービスか何かを頼むことにして、彼はまっすぐ部屋へ向かうことにした。
 緩やかに上昇していく鉄の箱の中、そういえばまだ春歌にメールを送っていなかったことを思い出し、ポケットから携帯を取り出した。
 メール作成画面を開いて愛しい恋人のアドレスを呼び出し、手早く用件を打ち込む。
 仕事が終わったらこのホテルに来てほしい旨と、フロントに名乗れば判るようにしておくといった内容だ。あとは部屋に着き次第フロントへ連絡して、七海春歌という女が来たらこの部屋に寄越してほしいと頼んでおけばいい。
 エレベーターが目的階に着いたのと、龍也がメールを送信したのはほぼ同時だった。
 カードキーをスライドさせてドアを開けた彼は、部屋の中が既に明るいことに気付いて眉を寄せた。奥からは微かに人の気配もする。
「何だ……あの親父、サプライズパーティーでも企んでやがったってことか」
 どうせやるなら明かりは消して待機しておけばいいものを、パーティーのメンバーはどうやら相当に間が抜けているらしい。
 こういった企みに乗る人物として真っ先に思い浮かぶのは腐れ縁の同僚、月宮林檎だ。たしか今日はバラエティーの収録があるとかで先に帰ったはずだが、この分ではそれはフェイクだったと思った方がよさそうだ。
 これがサプライズパーティーであるとするならば、もしかしたらかつての教え子である一ノ瀬や神宮寺、来栖辺りも一枚噛んでいる可能性があるだろう。彼らは春歌との繋がりもあって、他の元教え子達よりも少しだけ踏み込んだ付き合いをしている。悪ふざけの好きな彼らなら、誘われれば喜んで乗るに違いない。
 クラッカーで出迎えられても決して驚くまいと決意を固めて奥へ足を進めた龍也だったが、奥にいたのは思いも寄らない相手で、固めた決意はあっさり潰えてしまった。
「春、歌……?」
 我ながら間抜けな声音だと他人事のように思いながら、彼はここにいるはずのない人物の名前を呼んだ。
「龍也さん、お誕生日おめでとうございます」
 春歌はソファに掛けたまま、微かに笑んでそう言った。
 アイボリーのシフォンドレスを身に纏った彼女は普段に輪をかけて可憐だった。肩を惜しげなく露出させたビスチェタイプのそのドレスは、春歌の華奢な体躯をより一層際立たせ、龍也の目を釘付けにするのに余りある威力を放っていた。
 手に持っているのは小さな花束で、ドレスの色と相俟って、まるでブーケを手にウエディングを身に纏った花嫁のような雰囲気だ。
 ここへきてようやく、社長の企みの意図が知れた。
 なるほどこれは良くできたサプライズだ。互いに多忙すぎてすれ違うことの多い恋人達にひとときの逢瀬を贈るという演出は憎いくらいに気が利いている。思わず裏があるのではないかと勘繰りたくなるくらいだ。
「ったく、あのおっさんは……」
 憎まれ口を叩きながら苦笑混じりに愛しい恋人へ近付いた龍也だったが、それを目にした瞬間、表情を強張らせた。
「春歌、それは一体……?」
 近付くまではただ単にブーケの一部にしか見えなかった幅広なシルクのリボンが、なぜか春歌の手首にぐるぐる巻き付けられていたのだ。まるで手首を拘束しているかのように。いや、“ように”ではなく実際に拘束しているのだ。両の手首を合わせた状態で何重にも巻かれている様はそうとしか表現のしようがない。
「えぇーと、社長が、この方が盛り上がるからと仰有って……」
 自身も困惑しながら、それでも懸命に説明してくれようとする律儀さは、この場合殊勝と言っていいものかどうか判断に苦しむところだ。
 皆まで言うなとばかりにその先の言葉を手振りで制し、龍也は恋人の細い手首をリボンの上から撫でさすった。
「今すぐ解いてやるからちょっと待ってろ。ったく、ろくなことしやがらねーな、あのおっさんは!」
 ぶつぶつ文句を言いながらリボンを解こうとしたが、それを遮るように眼前の春歌が口を開いた。
「あの……社長が仰有るには、このリボンには何か特殊な仕掛けが施されているらしく、日付が変わるまでは解くことは叶わないのだそうです」
 そう言って、彼女はテーブルの上に置かれた一通の手紙を指し示した。
 透かし模様の入った洒落た封筒を開ければ、そこには二つに折られた一枚のカードがあった。

 HAPPY BIRTHDAY 龍也
 プレゼントにはリボンをかけるのが必定デース!
 ミーからの心尽くしの贈り物をたっぷり堪能してチョーダイ!

 書かれているメッセージはそれだけで、リボンの解き方については何も記されていない。
「あんの親父……」
 こめかみをひくつかせながら龍也は奥歯をぎりぎり噛み締めた。
 そして愛しい恋人に向き直り、その小さな肩を抱き寄せた。
「すまねーな、変なことに巻き込んじまって」
 幸いブーケの方はリボンとは関係なく単にカムフラージュのために持たされていただけらしく、春歌は手にしていた小さな花束をテーブルの上に置いてからこちらに身体を預けてきた。
 ふんわり薫る花の香はブーケが生花だったからだろう。優しい香りは彼女の清楚な佇まいと相俟って、苛立つ龍也の気持ちを幾分落ち着かせた。
 ぱっと見たところではただのリボンにしか見えないが、あのどこか人間離れした早乙女のやることだから、きっとこちらの思いも寄らないような仕掛けが施されているのは想像に難くない。我が上司ながらつくづく迷惑な男だ。
「とにかく、すぐに社長に連絡して、そのリボンの解除方法を聞き出してやる。お前は何も心配しなくていいからな」
「あの……龍也さん、そんなに心配して頂かなくても大丈夫ですよ。身動きは取りづらいですが、特に痛いということもないですし、あと数時間だけのことですから」
 微苦笑を浮かべながらそんな健気なことを言う恋人に胸が詰まった。
 愛おしさが全身を駆け抜けて、彼は春歌の華奢な躯を掻き抱くように抱き締めた。
「春歌……もっと怒ったっていいんだぜ。いくら社長のやることでも、今回のは悪ふざけが過ぎるからな」
「いえ、本当に大丈夫です。それに社長は、わたしのことを龍也さんが一番喜ぶ贈り物だと仰有って下さったんですよ。龍也さんが尊敬している方からそんな風に認めてもらえたというのはとても光栄なことですし、多少の不自由くらいどうってことありません」
 龍也の腕の中で、愛しい少女は尚も言い募った。
 確かにシャイニング早乙女という男はハチャメチャなところの多い人物だが、彼の持つ不思議な魅力やカリスマ性、そしてタレントとしての偉大さはその欠点を凌駕して余りあるものだ。素直にそれと認めるのは正直いって非常に癪だし、だから一度も口に出したことはなかったのだが、ずっと傍らで龍也を見つめ続けていた春歌にはこちらの心中などとっくに見破られてしまっていたらしい。
 その上で、こんなことに巻き込まれたというのに、文句の一つを言うでもなく光栄だなどというのだ。人が好いにもほどがあると思うが、それは同時に彼女を形成する大きな魅力の一つだ。そしてそんな春歌だからこそ、自分のような男を受け止めて、愛してくれているのだろう。
 ここで謝罪の言葉を重ねたところで、きっとそれは善良な彼女の心を重くするばかりに違いない。
 龍也は嘆息と共に気持ちを切り替えて、抱き締める腕の力を少しだけ緩めた。
「まぁ、惚れた女が自分にリボンを掛けて「私がプレゼントです」なんて言ってくれんのは、ある意味男のロマンと言えなくもないが」
 謝罪の言葉の代わりに告げたのは冗談交じりの本音だ。林檎などに聞かれたら、あまりにもベタだと腹を抱えて大笑いされそうなこと請け合いだが、男ならば誰しも一度くらい夢に見るネタだろう。決して自分が特別古くさい考えの持ち主ということもあるまい。
 と、腕の中で春歌が微かに身を硬くした。
 生真面目な彼女が軽口を本気に取るのはよくあることで、だから龍也は慌ててそう告げようとしたのだが、続く言葉はあっさり封じられた――春歌からのキスで。
「んっ……」
 下から掬い上げるように口づけてきたと思ったら、辿々しく唇を食んでくる。遅れて、あわいを割るように舌が挿し入れられてきた。歯列をなぞり、探るように彼の舌を搦め捕る。
 羞恥からか固く閉じられた瞼は微かに震えていたものの、その目元は淡く色づき、まだ幼さの残る顔立ちの中にアンバランスな妖艶さを醸し出していた。
 慣れない自分からのキスと、無理な体勢のせいで、春歌は早くも息を上げていたが、それでもこちらの情欲を煽るような口づけは止まらない。切なげな吐息を漏らしながら必死に舌を絡めてくる様はあまりにも可愛らしく、龍也は突き動かされるようにその口づけに応えた。思うさま舌を吸い上げ、甘噛みし、零れる吐息さえも食らい尽くす勢いで反撃に転じれば、形勢はあっさり逆転した。彼女なりに健闘はしたものの、経験値の差は如何ともし難い。春歌の口腔内を侵す立場に取って代わるのは呆気ないほど容易かった。
 頬の内側から喉奥まで余すところなく味わう内に、彼女の痩躯からへなへなと力が抜けていく。少しだけ口撃の手を緩め、くったりと脱力した躰を抱えるようにして膝の上に乗せれば、春歌は為すがままといった態でぴたりと身を添わせてきた。
 隙間なく密着した躰から伝わる鼓動はいつもより数段速い。まるで刻むビートがそのまま彼女の興奮の度合いを表しているかのようで、その思いは龍也の情動を益々高めた。
 名残惜しく離した唇は朱く色づいて熟れた果実のようだ。その色は決して口紅のせいだけではない。弾む呼吸を整えながら、春歌は官能に濡れた眸でまっすぐこちらの目を捕らえた。
「龍也さんさえ良ければ、わたしを、受け取って下さい。自分で自分にリボンをかけてというわけではありませんけど、龍也さんにわたしを受け取ってほしいんです」
 熱っぽく告げられた言葉に、柄にもなく鼓動が速まった。
 それは聞きようによってはプロポーズとも受け取れるような内容だったが、さすがにそれは先走りすぎというものだろう。きっと彼女にはそこまでの意図はない。
 だとしても、春歌の言葉は彼の理性を突き崩すには充分すぎる力を伴うものだった。
「お前、自分が何言ってるか解ってんのか?」
「解ってます。その……こういう状況じゃなかったとしても、叶うことなら今夜は龍也さんと過ごしたいと思ってましたし」
 口籠もるように告げられた言葉を聞いた拍子に、ふと頭の隅に引っかかっていたことを思い出した。
「そういや、お前、今日仕事じゃなかったか?」
 先日互いのスケジュールを確認したとき、彼女は今日はクライアントとの打ち合わせや取材が数件立て続けに入っていて終了の時間が読めないと言っていたはずだ。誕生日を一緒に過ごせないことをとても恐縮し、仕事が終わり次第すぐに連絡しますと泣きそうな顔で訴えていたのは記憶に新しい。
「それが、その……わたしの今日のスケジュール自体がどうやら社長が予め手を回されていたものだったらしく……」
「なるほど、こっちがフェイクだったってわけか」
 要するにこれは昨日今日の思いつきで仕込まれた茶番ではなく、それなりの日数をかけて仕組まれたサプライズ計画だったというわけだ。悪戯好きの社長が考えそうなネタではあるが、振り回される側としてはたまったものではない。
「で、明日の予定は?」
 自分の記憶が確かなら、春歌の明日の仕事は今日の予定の延長線のようなものばかりだったはずだ。今日の予定がフェイクだったとするならば、明日の予定もまた然りだろう。
 こちらの考えが伝わったのか、彼女は微笑と苦笑の間くらいの笑みで頷いた。
「午前中と午後一の仕事は今日の続きのものということでしたのでオフになってしまいました。夕方からの取材は今日の予定とは絡んでいなかったのであるはずなのですが……」
「まぁ、それを確認するのは明日の朝でも大丈夫ってことだな」
「はい」
 小さく頷いた春歌が窺うような視線を投げかけてくる。
「解ったよ。せっかくの贈り物だ、お前がそこまで言ってくれるなら有難く頂戴するさ。だが知っての通り、俺の愛は深いぜ? ちゃんとついて来られるか?」
 口の端を持ち上げて挑発すれば、彼女はこくりと喉を鳴らし、それから至極真面目な顔でしっかり頷いてみせた。
「龍也さんにご満足頂けるよう、頑張ります」
「そんな悲壮な覚悟を決めなくても、たっぷり可愛がってやるよ。いつも通り……いや、いつも以上にな」
 龍也はそう宣言して、愛しい恋人の露出した鎖骨に唇を落とし、その窪みへと舌を這わせた。


 普段とは異なるロケーションや、動きを一部封じられているという状況による非日常は互いに刺激的なスパイスとなり、恋人達を存分に楽しませた。
 事を終え、すっかり汗やその他のあれこれでべたべたになった身体を流すべく、二人はバスルームに向かったのだが――そこで意外な事実が判明した。
「あん?」
「えっ……?」
 龍也と春歌、それぞれの口から驚きの声が漏れたのも無理はない。
 日付が変わるまで解けることのない仕掛けが施されているという触れ込みのリボンが、何の障害もなくするりと解けたのだから。
「あんの親父……謀りやがったな……」
 奥歯を噛み鳴らしながら、彼は呪詛にも近い声音で呟いた。
 冷静に考えれば、いくらシャイニング早乙女が常識外れのオンパレードを地でいく男だったとしても、たかがリボンにそんな奇天烈な仕掛けを施せるはずがないのだ。
 それなのに、そんな子供騙しの法螺に引っかかってしまった自分が情けない。
 一番の被害者である彼女に申し訳ない気分で目を向ければ、当の本人は全く気にした様子もなくにこにこ笑っていた。
「お前……腹立たねーの?」
「え? 何がですか?」
「何がって……」
「だって、これが解けたということは、龍也さんがわたしに満足して下さったということじゃないんですか?」
 思ってもみなかった答えに、龍也は二の句が継げずに押し黙った。
 恐ろしいことに、冗談や慰めではなく、春歌は本気でそう言っているのだ。無邪気に見上げてくるその瞳が何より如実にそのことを物語っていた。
「龍也さん?」
 違うんですか、と小首を傾げてくる恋人に首を振り、華奢な身体を力いっぱい抱き締めた。
 裸のまま抱き合えばまたぞろむくむくと欲望の証が頭を擡げ始めたが、続きは一風呂浴びて腹ごしらえをするまでお預けだ。
 それよりも、今はこの愛しい少女をただ抱き締めていたいという想いの方がずっと強い。
「……ほんと、お前には敵わねーな」
 心の底から呟いて、甘い香りを放つ髪に顔を埋める。

 こんなに幸せな気分を味わうことができたのだから、あの人騒がせな上司に、ほんのちょっとくらい感謝してやってもいいかもしれない。

 龍也は胸中で独白し、贈られた甘いプレゼントを朝までたっぷり堪能したのだった。








龍也先生の誕生日をお祝いし隊!!
というわけでして、ベタなネタに走ってみました。
遅刻してしまいましたが、龍也先生、お誕生日おめでとうございました!!

ちなみに完成型の話では間に年齢制限有りな描写が含まれているのですが
サイトにアップするには不適切なのでその部分はざっくりカットしております。

完成型のR18版の方はぴくしぶの方にアップしておりますので
年齢に達しておられる方はそちらからご覧下さいませ。
Pixiv「SWEETな贈り物」(R18)
(※外部サイトに飛びます。R18作品のため、要ユーザー登録)

Go Back